ネーム

  • 中級

つまらない会話が面白くなる! Webtoon日常回で大切な“3つ”の戦略的視点

「カッコいい見せ場は描けるけど、日常や会話が描けない…」

そう思ったことはありませんか? 実はこれ、とてもよくある悩みなんです。

見せ場と見せ場を繋ぐ日常シーンは、会話が多かったり、話に起伏がなかったりで、ネーム作りのとっかかりが掴みづらい部分です。この悩みを解決するには、テクニックを覚える前に、「読者にどう読ませたいか」という考え方が大切になります。

今回は、Webtoonのネーム作りでお悩みの方に向けて、会話メインの日常回が面白く・スラスラ描けるようになる「3つの戦略的視点」を解説します。

戦略を活かすためのテクニックを解説する記事も紹介していますので、ぜひご覧ください。

1. 読者の「コスト」を徹底的に削減する

日常回を面白くするための最初のステップは、読者が支払う「コスト」を意識することです。

Webtoonも含めたすべてのマンガは、読者に多くの作業を要求しています。

・テキストを読む
・キャラクターを観察して感情を推測する
・物語の状況を理解する

これらの作業で費やすエネルギー、すなわちコストが多すぎると、読者は苦痛を感じ、読むのをやめてしまうのです。

Webtoonならば、コストが多い作品はスクロールを止めて画面を観察するハメになり、せっかくの快適性が損なわれます。セリフが多くなりがちな日常回では、コストをいかに減らすか」という視点を強く意識しましょう。これだけでも、ネーム作りのとっかかりになるはずです。

これは余談ですが、『逃げ上手の若君』(集英社)の松井優征先生は、コストを減らす努力を「防御力」と呼んでいます。横読みマンガのプロも意識しているポイントなんですね。

テクニック:1画面の情報を減らして、気持ちのいいスクロールをしてもらう

コストを減らす具体的なテクニックは、「1画面の情報量を減らす」です。

スマホの狭い画面にたくさんのコマを入れてキャラにしゃべらせると、全体が煩雑で読みづらくなります。セリフを読む作業も負担が大きくなり、まさに「コストが多すぎる」状況です。

【引用】帝国一の悪女に溺愛がとまりません!

1画面=1スクロールは基本的に1コマとし、フキダシも1つか2つに押さえます。伝えたい内容がどうしても多くなる場合は、複数のコマに分割してスクロールが止まらないようにしましょう。Webtoonのコマ間に余白が多いのも、情報量をコントロールするためです。

他にも、背景をボカしたり不要なディテールを省いたりする手法も有効です。会話メインならば、読者の視線がキャラクターとセリフだけに集中できる環境を整えましょう。

Point!
読者の負担となる「コスト」の削減を意識しよう!

2. 情報を「どこに・どんな間で置くか」を考える

会話シーンがうまく描けない理由のひとつに「単調になってしまう」があります。

  • セリフが一本調子になる

  • 顔のアップばかりになる、あるいはカメラが切り替わりすぎて目が滑る

  • 会話がダラダラ続いているように感じられる

これらの悩みを解決するには、キャラクターやセリフといった情報を「どこに・どんな間で」コマ内に配置するかを考えるようにしましょう。

上から下へスクロールし続けるWebtoonは視線の方向が固定化しやすく、コマ内の要素を規則正しく並べると退屈に感じられます。

【引用】傷だらけ聖女より報復をこめて

このシーンは「少年と少女が会話している」だけですが、読んでいて退屈しませんよね。フキダシの位置、キャラクターを映すカメラの角度、セリフ同士の物理的な距離……など、あらゆる配置が工夫されているからです。

うまく描けないときは「このキャラをどこに、どんな構図で配置するか?」「誰のセリフをどこにどう置くか?」を考えてみてください。

テクニック①:プロの作品から見せ方を学ぶ

情報をどこにどう置くかは、作風やシーンによって無数のパターンが考えられます。それでは「今悩んでいるこのシーンでは、何が正解なんだ?」と悩んでしまいますよね。

そんなときは、プロのWebtoonを研究するつもりで読んでみましょう。先ほど『かたわれ令嬢~』の例から学んだように、気になったシーンを見つけて「なぜこういう構図なのか? 読者にどう見せているか?」を考察するのです。

試しに、以下の「男の子がケーキを食べて静かに感動している」シーンを見てみましょう。

【引用】無能な継母ですが、家族の溺愛が止まりません!

「なぜこの見せ方なのか?」を一度自分なりに考えてから、記事の続きを読んでみてください。

今回のポイントは、男の子がケーキを食べる動作をくり返している点です。無意味に思える反復で読者に「なぜ?」と思わせてタメを作り、最後に男の子が感動しているコマで「そういうことだったのか!」と納得させています。

ちょっとした謎で読者の興味を引きつつ、見せ場である男の子の感動に目を止めさせる仕掛けといえるでしょう。スムーズにスクロールさせる意識は大切ですが、ときには読者に「あれ?」と違和感を抱かせてミスリードを誘う見せ方も有効です。

このように、プロの作品から学べることはたくさんあります。

テクニック②:シーンの意図に沿った構図を選ぶ

日常回では、構図にとくに注意を払います。顔のアップばかり続く構図はもちろん良くないですが、意味もなくカメラを近づけたり引いたりさせるのも良くありません。

バストアップや引き構図など、よく使われる構図の効果を理解して、「なぜ、自分はこの構図を選んだのか?」を説明できるようになりましょう。

【引用】異世界パティシエのお菓子改革

例えば、肩越しに会話相手を見せる「ショルダーショット」は、会話シーンでよく使われる定番の構図です。会話している人物の位置関係を分かりやすく見せられますので、場面の状況説明に適しています。

もっと知りたい方は、「構図被りを撲滅! 会話シーンのマンネリを打破する「構図テンプレ」8選」をご覧ください!

Point!
読者に伝える情報は内容だけでなく見せ方も大事! 「この見せ方でいいのか?」と自問しよう!

3. 縦長を活かして体感時間をコントロールする

読者の体感時間をコントロールする視点も欠かせません。あっと驚く見せ場では「間」を感じてほしいし、激しい言い合いではスピード感を感じてほしいですよね。

シーンに応じて体感時間に緩急をつけないと、平坦で味気ない読み味になってしまいます。

【引用】初代様の帰還〜史上最強が1000年後の子孫に転生する

Webtoonでは、縦軸の長さを調整して体感時間を操作します。読者はスクロールする時間や距離からシーンの長さを体感するため、「1つのシーンあたりで何回スクロールさせるか」を意識してネームを作れば、体感時間を操れる理屈です。

上の例は、物理的には同じスマホ1画面分ですが、左の方はゆったりとしたテンポ、右の方はスピーディーに感じられますよね。このように、画面の使い方によって、時間の流れをデザインできます。

テクニック:コマ間の余白の広さで「間」を操作する

体感時間をデザインする最大の武器は、コマ間の余白です。余白を広くすればするほどシーンの「間」は長くなり、狭ければテンポが良くなります。

【引用】100の魔石の大賢者

こちらは、同じ作品の同じエピソードから引用し、スクロールの長さも揃えた2枚の画像です。セリフのテンポが異なる印象を抱きませんか?

テンポの良いツッコミや軽快な会話シーンでは、コマ間の余白を狭くして、ポンポンと小気味よく読ませます。

逆に、言葉に詰まる気まずい瞬間や告白などの大切なセリフの前は、余白を大きく取りましょう。何も描かれていない空間をスクロールするその一瞬に読者はいろいろな想像を膨らませ、それぞれの「間」を感じてくれます。

余白の使い方については、「スマホ画面で映える!タテ読み漫画のコマとフキダシの黄金ルール」や「会話で読者を飽きさせない! 単調な日常会話が劇的に「映える」コマ割り術」でもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

Point!
余白やスクロールを駆使すれば読者の体感時間をコントロールできる!

4. まとめ

Webtoonの日常回を面白くするための「3つの戦略的視点」を解説しました。最後にもう一度まとめてみます。

  • 読者が作品に費やすコストを下げて読みやすくする

  • コマ内の情報を「どこに・どんな間で見せるか」を考える

  • 縦軸の長さ=読者の体感時間と捉える

これらの問題を解決するテクニックだけ覚えても「なぜそうするのか?」という視点がなければ、効果的に使うことはできません。

日常回のネームに詰まったときは、「読者のコストを減らせているか」「見せ方に意図があるか」「体感時間をデザインできているか」の3つをチェックしてみてください!

Webtoon制作のお悩み、大募集!

制作中の疑問や、タテラボ!で取り上げてほしいテーマを募集しています。

お悩みを投稿する