ネーム

  • 中級

「遅さ」を支配せよ! 冗長にならない「間」の作り方

「間(ま)」と「冗長」の違い、わかりますか?

Webtoonで読者の心を掴むには、迫力やスピード感あふれる見せ場だけを描いていてはいけません。巧みな構図や作画で、あえて「遅さ」を演出し、緊張感や“タメ”を生み出すのがプロの技です。

しかし、「間」を作ろうとしても「なんだか間延びしちゃう!」と苦戦する人は少なくありません。

この記事では、読者を作品世界に深く引き込む武器となる「間」を効果的に生み出すネーム作りのテクニックをお伝えします。

1.冗長にならない「感情のタメ」を作ろう

そもそも、Webtoonにおける「間」とは何でしょうか?
その正体は、「感情のタメ」です。衝撃的な展開の直前に「間」を入れることで作品にメリハリが生まれ、読者により強く深いインパクトを与えられます。いわば、漫才における「前フリ」に近い役割です。

ここからは、その「感情のタメ」を上手に活用するためのテクニックをご紹介します。

①背景や余白を使いこなそう

Webtoonでは、コマとコマの間に意図的な余白を設けることで、「間」を強烈に印象づけることができます。

Webtoonを読んでいて、「このマンガ、なんだか長く感じるな」と思ったことはありませんか?
Webtoonではスクロールの回数と読者の体感時間が密接に関係しています。コマの間に余白を多く取ることでスクロールが増え、読者に時間の経過をより長く感じさせることができる——つまり、「間」を演出できるのです。

【引用】10,000年に1人のSSSグレード黒魔術師

上の画像では、「主人公が倒れる」→「主人公が捕まっている」という2つのシーンの間に長い余白を挟み、「間」を効果的に演出しています。

この「間」の使い方は、Webtoonにおける定番の演出です。コマとコマの間に何も描かれていない空間があると、読者は「この先に何が待ち受けているのだろう?」と期待と不安が入り混じった気持ちになります。そして、無意識のうちにその“何か”を恐れるようになるのです。
上の例でも、「主人公はどうなったの!?」という不安感を、長い余白によってじっくりと煽り、捕らえられた衝撃をより強く印象づけています。

Point!
長い余白を「ここぞ!」という場面で挿入することで、「間」の効果は最大限に発揮される!

②風景やアイテムで視線を留める

連続するシーンの中に、風景や物語上重要なアイテムのみを大きく描くことで、読み進めるテンポを自然に遅らせることができます。
女性向けの作品であれば、花びらや光のエフェクトを加えることで、視線を優しく引き留める演出にもつながります。

【引用】俺だけスーパーヒーロー

上のシーンでは、激しい戦闘の合間にHPウィンドウを挿入することで、一瞬の“タメ”を演出しています。さらに、徐々に減少していくHPバーによって、連続攻撃のスピード感を1コマに凝縮。受けているダメージの大きさも同時に伝える、一挙両得の演出となっています。

Point!
背景やアイテムのワンカットで、読者にひと息つかせる!

③セリフを長めにとる

セリフが長すぎると、読者が読むのを避けてしまうこともあります。
しかし、「間」を演出したい場面では、あえて長尺のセリフやモノローグを挿入するのも効果的な手法です。スクロールする手を物理的に遅らせることで、そのシーンの体感時間を引き延ばすことができます。

【引用】無能な継母ですが、家族の溺愛が止まりません!

そのような場合は、セリフを複数の吹き出しに分けて配置するのがポイントです。読者がストレスを感じず、スムーズに視線を追えるよう工夫しましょう。

Point!
長いセリフで「間」を演出するときも、読みやすさへの配慮を忘れずに!

2.「スローモーション」で緊張感と“タメ”を演出する

「間」をわかりやすく示すテクニックに、一瞬の出来事をゆっくりと見せる「スローモーション」表現があります。時間にすればほんの一瞬のシーンを複数のコマで描くことで、決定的な瞬間をより強調できるのがスローモーションの強みです。

スローモーションで決定的な瞬間やキャラクターの感情を見せたい場面では、大ゴマを活用しましょう。Webtoonでは、画面いっぱいに広がる縦長の大きなコマで、キャラクターの表情や迫力ある技をドーンと見せられます。読者の視線を「見せたい一瞬」に留めるイメージです。これにより、読者の体感時間が長くなり、そのシーンへの没入感が格段に高まります。

【引用】神の適合者〜ゴッド・オブ・インフェクテッド〜

キャラクターのアップが続いた場面に、全体を見渡せる「引きの絵」を織り交ぜて緩急をつけるのも効果的です。
威圧感のあるキャラクターのアップから解き放たれた読者に一息つかせながらも、場の張り詰めた空気をしっかりと維持できます。

この手法は、『神の適合者〜ゴッド・オブ・インフェクテッド〜』のバトルシーンにも見られます。「この野…(郎)」というセリフを挿入することで、スローモーションが強調されていて、とても印象的ですね。さらに、引きの絵で状況をわかりやすく伝えている点も、押さえておきましょう。

Point!
大ゴマと引きの絵で、「ぐだぐだ」を「メリハリ」に変える!

3.「同じ構図の連続」で体感時間を引き延ばす!

スピーディーなアクションが続くバトルシーンでも、視覚効果を工夫することで、読者に「遅さ」を体感させることができます。

なかでも使いやすいのが、よく似た構図のコマを連続して見せる手法です。
同じような構図の絵を連続で配置し、その中でキャラクターの瞳がわずかに揺れたり、口元がゆっくりとほころんだりといった、ごく細かな変化だけを少しずつ加えていきます。
読者はその微細な変化を目で追うことで、ほんの一瞬の出来事が、まるで時間を引き伸ばされたかのように感じるのです。

【引用(左)】俺だけスーパーヒーロー 【引用(右)】2周目の大魔導士は近接魔法で無双する

挙げた2枚の画像は、どちらも「同じ構図の連続」を活用した例です。アクションのテンポを崩すことなく、あたかも主人公の周囲だけ時間の流れが遅くなったかのようなスピードの緩急が演出されています。

Point!
視覚効果で“遅さ”を演出することで、アクションの激しさがより際立つ!

4.無音で想像力を刺激する!

セリフやオノマトペといった音情報をあえて排除するのも、大胆な「間」の演出として知っておきたいテクニックのひとつです。激しいアクションの合間に「無音のコマ」を挟むことで、その静けさが一層際立ち、“タメ”を生み出すだけでなく、シーン全体に深みと緊張感を与えます。

それでは、実際の例を見てみましょう。

【引用】神の適合者〜ゴッド・オブ・インフェクテッド〜

音を徹底的にそぎ落として静寂を生み出すことで、圧倒的な迫力を演出しています。まるで時間が止まったようなメリハリのある構図こそが、「無音のコマ」の真価です。

「間」の有無にかかわらず、Webtoonでは常にすべての音を描く必要はありません。あえて音を抑え、キャラクターの表情や動作、コマ割り、背景描写などによって“音”を読者に想像させる――それもまた、Webtoonづくりの醍醐味のひとつです。

Point!
音情報の使い方でも「間」は作り出せる!

まとめ

今回紹介した技術を、作品のすべてに詰め込んではいけません。
やりすぎると非常に間延びした、だらだらと冗長なWebtoonになってしまいます。「間」は読者の体感時間をコントロールし、ほんの一瞬を最大限に際立たせるための技術です。

この記事で学んだ“遅さ”のテクニックを活かして、緩急のある魅力的な作品づくりをめざしてください!

Webtoon制作のお悩み、大募集!

制作中の疑問や、タテラボ!で取り上げてほしいテーマを募集しています。

お悩みを投稿する