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インタビュー
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Webtoon作家
本日のクリエイター
黒島亜夢
先生
アニメーター/イラストレーター
新進気鋭のフリーランスクリエイター。不思議かわいい生き物を描かせたらピカ一。自分の創りたいものを見つめ直すため読切『プトロ』でWebtoonに初挑戦し、高い評価を得た。
趣味は動物のお世話。特にインコのトレーニングに夢中な毎日。
「Webtoonはマンガ家しか創れない」と思ってませんか?
キュートな宇宙人・プトロが地球にやってくるハートフルコメディ読切『プトロ』。ソラジマTOONで発表された本作は、鮮やかな色彩と共感を呼ぶストーリーで人気を博しています。
今回は、『プトロ』でWebtoonデビューを果たした黒島亜夢先生をお呼びしました。黒島先生はアニメーター・イラストレーターとして活動されている方で、Webtoonはおろか商業マンガの制作も今回が初めてとのこと。
そんな黒島先生のお話を通して見えてきたのは、他分野で培った“武器”を活かしたWebtoon作りの楽しさと奥深さでした。
創作を始めたのは小学生の頃ですね。書いたり描いたりするのが原点で、小さい頃から自由帳にびっしりと絵を描いて、模写したり、なぞったりしていました。そこから少しずつ変化していった感じです。
しっかりキャラクターを作って、ストーリーにも注目し始めたのは、小学6年生くらいだったと思います。絵がとても上手な姉に憧れて「私もやりたい!」と真似していました。
高校生のときで、当時はマンガでした。完全に趣味でしたが、Twitterにイラストを投稿していたら海外の方にも見ていただけるようになって「マンガも投稿してみようかな」と思い、投稿し始めました。
今はアニメーション制作をメインに活動しています。
小学生の頃、ニンテンドーDSの『うごくメモ帳』※を遊んでいたのが大きいですね。パラパラマンガのようなアニメーションを作っていて、それが自然と身についていました。
大学の課題でオリジナルの作品を求められたとき、「私がすぐにできるものは何か」と考えて、アニメーションなら作れるかもしれないと思い、それがきっかけで今に至ります。
※2008年に任天堂が発売したゲームソフト。タッチペンで描いた複数のページをパラパラマンガとして再生できた
一番影響を受けたのはディズニー作品です。『ベイマックス』を観たとき、すごく感銘を受けて「こんな作品を作りたい!」と思いました。高校生の頃からディズニー作品を目標として意識するようになって、そこからCGに挑戦したり、ディズニー作品の絵柄を真似したりしていました。
他には『ジブリ』にも影響を受けていると思います。

黒島亜夢X(旧Twitter)アカウントより引用 © 黒島亜夢
実はソラジマの編集者さんから声をかけていただいたのがきっかけなんです。
SNSで「マンガを描きたい」と呟いたら、それをたまたま編集者さんが見つけてくださって……。
自分でも驚きました! 本当に夢みたいな話で。
私の中にずっと温めているお話の構想がありまして、いつか最高の形でマンガや映像に残したいとずっと考えているんです。そのために「まずは1本、お話を描き上げる」経験もしてみたいなと思って、Webtoonをやってみようと決めました。
「私がプロとしてマンガを描いていいんだ!」というワクワク半分、「私にできるのか?」という不安が半分でした。マンガ家としては何の経験もない状態からのスタートですから。
話作りから作画、仕上げまで全て1人でやりました。Webtoonでは分業制が多いので1人での作業は大変でしたが、すべて自分のペースで進められたのは良かったと思います。
編集さんと一緒にいろいろな案を考えている中で「天気の話ってかわいいかも?」と思いついたのが始まりです。
天気って人間の気持ちをすごく左右するじゃないですか。例えば出勤中のサラリーマンが雨に降られると憂鬱な気持ちになったりしますよね。そんな気持ちを楽しく変えてくれる宇宙人が来るお話はどうだろう、と思いまして。
そのアイデアを元に編集さんと話しあったところ「天気にフォーカスするよりも、現状に満足していない人を変えてくれる宇宙人の物語にした方がいいのでは?」という意見が出て、今の『プトロ』に繋がりました。

© 黒島亜夢 / SORAJIMA
まずデザインですが、プトロの造形はすごくノリノリで考えました。自分の中でも「これはいい!」と思える仕上がりになったと思います。
特にモデルを用意せず、手を動かしながら「これ、かわいいかも」「いや、やめておこう」と要素を少しずつ足したり引いたりしながら今の形に仕上げていきました。試行錯誤しながら形にしていったので、遊び感覚で楽しくデザインできましたね。
デザイン以上に意識したのが、主人公のサラリーマン・カズヒトとのバランスです。カズヒトとプトロという2人のキャラクターが、それぞれの視点で共感できる存在にしたかったんです。
カズヒトは仕事で忙しくて、プトロのようにヤンチャで子どもっぽい態度に少しイラついてしまうこともあります。それは彼が心の余裕をなくしているからで、読者の中にもカズヒトの苛立ちに共感できる人がいると思います。
一方で、プトロは失敗が多いですけど、それは純粋にがんばっているだけで悪気があるわけではありません。
作品を通して「どちらの気持ちもわかる」ストーリーにしたくて、キャラクターのバランスを取ることを意識しました。

© 黒島亜夢 / SORAJIMA
読む人の精神状態によってカズヒトに共感する日もあれば、プトロに共感する日もある……何度読んでも違った視点で楽しめる作品にしたかったんです。
プトロは地球に来たばかりの宇宙人なので、最初は何も気にせず活動していたのですが、たぶん街中で周囲に驚かれたと思うんですよね。
それでカズヒトに「服を着なさい!」と怒られたんじゃないかな、と思っています(笑)
スーパーで買い物しているシーンでも、バッグしか持っていないので、「あの後、きっと周囲に驚かれて慌てて服を着たんだろうな」と想像してもらえるような演出にしました。
読者の皆さんがそれぞれ想像して楽しんでくれたら嬉しいです。
お話を考えていたとき、「現状に満足していない人(カズヒト)」と「毎日が楽しくて仕方ない人(プトロ)」の対比をハッキリ描きたかったんです。「それなら色を思いっきり使おう」と決めました。
モノクロとカラーを使い分ける演出は、登場人物の心境の変化や状況の変化を視覚的に表現するのにぴったりなんです。「退屈=色がない」「充実=色が溢れている」という形で、Webtoonに落としこみました。
確かに映像作品ではよく使われる手法です。
特に、カズヒトが自転車でいろいろな場所を巡るシーンは気合を入れました。美しい景色を感じてもらいたかったので、背景をしっかり描かきこんで白い余白をできるだけ減らしました。まるで映像を見ているような感覚になってもらえれば……と。

© 黒島亜夢 / SORAJIMA
クライマックスのシーンなので、物語のまとめとして映像がふわっと流れていくような演出をしたかったんです。一緒に物語を旅してきた読者にも、プトロやカズヒトの気持ちをわかってもらえるように意識しました。
私自身も「このページは大きな1枚の絵として見てみたいな」と思いましたね。例えばVRで見られるようになったら、もっと没入感が増しそうですね(笑)
「ストーリーに共感できた」という感想を多くいただけたのが心に残っています。「読み終わった後にこう感じてほしい」と考えていた想いが、実際に読者の皆さんに伝わっていたのが嬉しいです。
キャラクターに関しても、自分が「かわいい」と思ってデザインしたものが読者の皆さんにもかわいいと受け入れてもらえました。
ストーリーもキャラクターも、自分が好きなものをそのまま楽しんでもらえて感動しましたし、自信に繋がりました。
完成品をスマホで読んだときに「こうなるのか!」と驚きました。
原稿を制作するときは、キャンバスを8ページ分くらいに分けて作業していたんです。ずっと小さな画面で区切られた状態で作業していたので、スマホで全体を通して読んでなかったんです。
最後に完成した作品を読者としてスマホで読んでみたとき、画面全体に色が広がる感じがすごく気持ちよくて「あ、これがウェブトゥーンの強みなんだ」と実感しました。

© 黒島亜夢 / SORAJIMA
Webtoonならではの問題ですが、ペイントツールのキャンバスが縦に長いので、下を書いていると上が見えなくなるんです。
そのせいでレイヤー管理を間違えてしまい、大事なレイヤーをうっかり消してしまうミスを何度も……。
もう取り返しのつかない時点でようやく気づくことが多くて、本当に大変でした。これからWebtoonを始める方も、レイヤー管理だけは気を付けてほしいですね(笑)
イラストもマンガも共通点が多いですが、アニメでは特にキャラクターを描く際に前後の動きを意識しながら描くんです。そのおかげか、Webtoonでもキャラクターの動きをより自然にイメージしながら描けたと思っています。1シーンごとに違う動きを見せることで、似たようなコマを連続させない構図を作れたかな、と。
キャラクターの表情を描く際もアニメの経験が活かされました。「泣く」から「笑う」というありきたりな表情の変化にも、その過程にはたくさんの表情が動きとして存在します。その変化を丁寧に表現できたと思います。
今回の『プトロ』を通じて、背景を描く力が鍛えられたと思います。
作劇の都合上、カズヒトの部屋を何度も描く必要があったので、空間の見せ方を意識する機会が多かったんです。サイズの制約がある中で「どうやって情報を伝えるか」「逆に詰め込みすぎていないか」といった構図のバランスを考えながら『プトロ』を描きました。
そのおかげか、アニメの背景作りやレイアウトの考え方がレベルアップしたと感じています。

© 黒島亜夢 / SORAJIMA
もし次があれば、今回はお蔵入りになった「海の話」を描いてみたいですね。
スカウトしていただいたとき、最初は「海の魚が宇宙へ行く話」を作ろうと思ったんです。Webtoonは縦スクロールなので、上下の動きが活かせるじゃないですか。それを利用して、魚が宇宙に向かう場面や、逆に宇宙から海へ落ちてくる場面をダイナミックに表現できるんじゃないかと考えています。
アニメだとなかなか表現しにくい演出も、Webtoonなら実現できる部分があるんじゃないかと。
ありがとうございます。機会があればぜひ挑戦したいです。
まず「レイヤーを消さないように気をつけてください!」ですね(笑)
それと、Webtoonは挑戦する価値があるジャンルだと知ってほしいです。
普通のマンガやアニメは小さい頃から触れる機会が多いと思うのですが、Webtoonはなかなか馴染みがない人も多いんじゃないかと思います。だからこそ、やってみるといろいろな経験ができます。
私は『プトロ』を通して本当に多くのことを学べましたし、自分の可能性が広がりました。自分でも思っていなかったような表現が生まれたり、新しい発想が湧いたりするので、読者の方も機会があればぜひ挑戦してみてほしいです。
そしてなにより、ひたすら楽しんで制作してもらえたらと思います。
黒島亜夢先生の『プトロ』をチェック!
