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読者に最高のカタルシスを与える「復讐」を描く!『お求めいただいた暴君陛下の悪女です』天壱先生インタビュー

本日のクリエイター

天壱

先生

小説家/原作者

「小説家になろう」出身。ライトノベルの執筆からマンガ原作まで幅広く手掛けるストーリーテラー。原作を担当する『お求めいただいた暴君陛下の悪女です』は、「ピッコマ」で日間・週間・月間ランキングすべて1位の三冠を獲得した。

復讐モノを描きたい人、必見です。

虐げられた主人公が仇へ因果応報を味わわせる「復讐モノ」は、古今東西、人々を魅了してきました。

Webtoonでも復讐を描く作品はとても多いですが、ずば抜けた支持を集めているのが、連載3周年を迎える『お求めいただいた暴君陛下の悪女です』です。主人公・ラースが繰り広げる復讐劇は痛快なカタルシスに満ちており、読者から愛され続けています。

数ある復讐モノのなかで、なぜ『暴君陛下』が選ばれるのか? 今回は原作者の天壱先生からお話を伺い「読者にカタルシスを与える復讐モノ」の極意を伺いました。

大人気の『暴君陛下』も最初は不安だった

-天壱先生のクリエイターとしての経歴からお聞かせください。

「小説家になろう」さんでの掲載をきっかけに「悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜 」を始めに、漫画やSMARTOONの原作に関わらせて頂いています。

-『暴君陛下』のストーリーを思いついたきっかけとなる出来事はなんでしょうか?

本作の編集や相談に乗ってくださっている、ストレートエッジの編集さんと当時話をしていた中で「悪女モノをやりませんか」という話になり、挑戦してみました。いろいろな悪女モノを実際に読んでみて、そこからどんな悪女が理想的かを自分の中で構想していきました。

-今では大人気の『暴君陛下』ですが、連載当初の手ごたえはいかがだったでしょうか?

不安いっっぱいでした。幸いありがたいことにランキングでは1位を頂けましたが「新連載ブーストだからな……」と素直に喜べず、ヒヤヒヤしながら書いてました。

復讐モノは「理に適っているか」と「主人公の満足」が大切

-復讐に比重を置いた展開にする際、最も重視しているポイントは何ですか?

「その復讐が今現在も理に適っているか」と「主人公自身がその復讐で満足するか」を考えてます。

『お求めいただいた暴君陛下の悪女です』© 天壱 / SORAJIMA / Straight Edge

―ラースが報復したり悪党を排除したりするシーンは強いカタルシスがありますが、読者が「スカッとする」ストーリーを作るために意識していることはなんですか?

やっぱり相応の復讐になるように気を付けています。受けた仕打ちに対して、復讐の内容や質が見合わないとすっきりできず、ただ過剰なだけでも後味が悪いので。あとは復讐に関しては最短距離もなるべく意識してます。

復讐を実行するシーンでは、主人公の実力で復讐を果たすことと、相手に恐怖、後悔、苦痛のどれかは必ず与えるようにしています。

―伏線の仕込み方や、読者に気づかせるタイミングで工夫していることはありますか?

WEBTOONではなるべく伏線は長引かせないように気を付けてます。あとはこちらが気付かせる!という場面まではなるべくバレないように物語内の話題や登場人物は気を付けています。

たとえば、ラースの金髪設定は最初から決めていましたが、0話で時間経過した場面で「頭の根元から金髪の逆プリンになっているように」「処刑直前には何気に黒ペンキを頭からかぶせられている場面を」とお願いしました。

回帰した直後の場面は、鏡を見ているラースですが、自分の髪を黒毛染めしている場面だったりします。

『お求めいただいた暴君陛下の悪女です』© 天壱 / SORAJIMA / Straight Edge

―ラースが復讐を決意する最序盤の展開は胸が苦しくなりました。復讐の動機付けとして物語上とても大事な導入でしたが、どんな意識で作られましたか?

「善人」として生きて来た人間が、「悪女」に堕ちるのに相応しい理由を意識しました。憑依でもなく転生でもなく、あくまで「本人」の復讐物語なので。 

「キャラの価値観」への意識がドラマを生み出す

―ラースというキャラクターを生み出すうえで、最初に決めた設定やコンセプトは何でしたか?

「良い女」と「清々しい復讐」を意識しました。 

―ラースはゼフォンやサシャを相手にすると、回帰前の素の部分が出るように感じます。彼女の「強い悪女」と「心優しい淑女」を両立させている意図や工夫は?

善人から生まれた悪女なので、回帰前と完全に別人にならないように意識しています。前世のラースと別人ではない、本人の心も残っているという意図で書いています。

―復讐劇では「ターゲット」の描き方もとても大事だと思います。べリエ王国の家族だけでなくゼフォンの愛人たちも憎まれ役やられ役として魅力的ですが、人物像を考えるときに意識していることは?

一番は「被らないこと」ですが、「今まで登場しなかった理由・今登場した理由」と「何故以前の世界ではラースへその行動に出たか」を意識して考えています。

たとえば、ゼフォンの愛人の一人ニーナは、ラースが「自分が媚びるべき強者」か、それとも「標的にすべき弱者」かの様子見をしていたから、すぐにはラースの前に現れませんでした。それまで脅威だったカミラをラースが倒して評判を上げたから、「友達になる」に舵を切って登場したキャラですね。

『お求めいただいた暴君陛下の悪女です』© 天壱 / SORAJIMA / Straight Edge

―報復対象だったパザロフが復活して少し憎めないキャラになったのが個人的に意外で面白かったです。パザロフはどんな意図で作られたキャラなのか教えてください。

ありがとうございます。パザロフは登場前から今の立ち位置になることまで決まっていました。ゼフォンを精神的に揺さぶると同時に良くも悪くも理解者、ラースに手を出しても簡単に始末されない存在で考えました。普通の立場ではすぐに処刑されて終わってしまいますので。

『お求めいただいた暴君陛下の悪女です』© 天壱 / SORAJIMA / Straight Edge

 ―ラースやゼフォン以外にも魅力的なキャラがたくさんいますが、特に印象的だったり想定外に活躍したサブキャラクターはいますか?

「マルク」でしょうか……。ゼフォンの従者の……。ゼフォンは孤立した人物なので従者とも親しくはなく、そしてゼフォンの理解者は、良い意味でも悪い意味でもパザロフだけでした。

従者のマルクは「ラースによって変化するゼフォン」がどれだけ異常かを示すポジションでしたが、今ではゼフォンの変化を誰より近くで目にし、理解し、ラースの存在の大きさをある意味ゼフォンよりも実感している人物だと思います。

 『お求めいただいた暴君陛下の悪女です』©天壱/SORAJIMA 

―ラースの復讐心やゼフォンの執着心など、キャラの感情の推移が非常にドラマチックだと感じます。キャラの感情を考える際に観察やリサーチで意識されていることはありますか?

強いて言えば、登場人物の価値観でしょうか。自分ではそうならないけれど、この人物ならこういう考えに至るだろうという点を知れるように意識しています。

セリフでも大切なのは「その人物らしい」か

―ラースのセリフは感情の振れ幅が大きく、読者の心に刺さる印象があります。読者にキャラの感情を伝える際にセリフ回しで意識されていることはありますか?

セリフ回しで意識しているのは、ラースに限りませんが、「その人物らしさ」でしょうか。その人物だからこそ考えに至る言葉を選んでいます。

また、復讐相手にはラース自身の感想よりも「相手がどれだけ傷つくか」で言葉を選んでいるようにしています。ラースは頭の良い女性なので。

『お求めいただいた暴君陛下の悪女です』© 天壱 / SORAJIMA / Straight Edge

―セリフの自然さと説明のバランスは多くのクリエイターの悩みどころです。説明口調になりすぎないセリフ回しを編み出すテクニックがあれば教えてください。

私も難しいです……!なるべく簡潔に、そしてその人物がわざわざは言わない言葉や省略しそうな言葉は使わないように意識しつつ、台詞ではなく思い出す光景や回想で伝わるようにしています。

友人からのおすすめ作品はアイデアを思いつく最高のきっかけ

―『暴君陛下』は今年で連載3周年を迎えます。プロとして面白い物語を描き続けるうえで、心がけていることはありますか?

もう3周年なんですね……!?あっという間ですね……。

初心の物語展開やテーマを忘れないようにしつつ、うっかりまるまる一話がキャラや世界説明だけで終わらないように常々気を付けています。 

―普段、アイデアを思いつく瞬間はどんなときですか? インスピレーションを得るために、特に読んでいる作品やジャンルもお聞きしたいです。

他の作品を読んだり観たりして「良い……!」と思った瞬間でしょうか。自分も読者さんをこういうテンションにさせたいと思いつつ、自分なりに考えます。

読むジャンルは基本問わないです。パッと思いつくものだと『勇気爆発バーンブレイバーン』や『ジョン・ウィック』、『かげきしょうじょ!!』、『異世界おじさん』『カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義』なども楽しみました。

―クリエイターは「インプットが大事」とよくいわれます。量や質など、普段のインプットで意識していることやマイルールがあれば教えてください。

友人から勧められた作品など、自分単体では観ようと思わなかった作品でも、意識的になるべく読んだり観たりするようにしています。信頼できる良いきっかけなので。

自分以外の人が面白いと話すならそれだけでも勉強になります。そして実際手に取ったら凄まじくハマることも多いです。

―話が煮詰まったときの気分転換方法や、アイデアの切り替え方はありますか?

好きな漫画を読んだり、目を閉じてただただ想像だけ膨らませたりするとわりと思考がまとまります。

復讐モノを描くなら「自分が楽しめる復讐」を!

―復讐モノに挑戦してみたいクリエイターに「ここだけは意識してほしい!」というポイントがあれば、アドバイスをお願いします。

自分が楽しめる復讐をどうぞ……!

読者様を楽しませたい気持ちも大事だと思いますが、自分が読者になった時にこの復讐を読んで楽しめるかを考えられると良いと思います。 

―最後に、これからWebtoonでプロを目指す方々に一言メッセージをお願いします。

原作側として。自分が考えた物語に、絵がつき色がつき展開される1話1話は本当にご褒美です。是非、わくわくしながら目指して頂ければと思います。


『お求めいただいた暴君陛下の悪女です』© 天壱 / SORAJIMA / Straight Edge


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