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Webtoon作家
本日のクリエイター
長月観
先生
原作者
趣味で小説を「カクヨム」や「pixiv」に投稿し続け『100の魔石の大賢者』で商業デビューを掴んだ期待のクリエイター。小説以外にも映画や舞台の鑑賞、保存食づくりにモーニングカフェ巡りと趣味がとても多い。
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Webtoonに革命もたらすレジェンドのネームテクに迫る!『100の魔石の大賢者』綾峰欄人先生インタビュー

綾峰欄人
先生
2025年9月に一挙14話を公開した新連載Webtoon『100の魔石の大賢者』。『GetBackers-奪還屋-』の綾峰欄人先生を作画に迎えたことで注目される話題作ですが、原作の長月観先生は、なんと本作が商業デビューとのこと。さらに、専攻する心理学を作品づくりに活かす異色の新人クリエイターでした。
今回のインタビューでは、一世を風靡したベテラン作家とタッグを組む長月先生の創作技術に迫ります。そうして見えてきたのは、氏が専攻する心理学が生み出すキャラクター作りの秘訣と、そこに隠された深い愛でした。
本作がデビュー作です。それまでは、趣味で小説を仲間内で書いていたり、pixivやカクヨムにマイペースに投稿している、ごく普通の一般人でした。
最初に小説を書いたのは小学生のときですが、本格的に書き始めたのは中学・高校の頃だったと思います。私の学校では、読書感想文の代わりに小説を作品として提出しても良かったんです。私は感想文が苦手だったので、それなら自分で物語を書こうと思ったのがきっかけです。
その後、大学では文芸サークルに所属し、仲間内で同人誌を出すような活動もしていました。社会人になってからはしばらく筆を置いていたのですが、縁あって創作を再開したり、自分でもカクヨムに投稿するようになり、今に至ります。
「何か面白いことをしたいな」という気持ちがあった頃、たまたまソラジマさんの「未経験者OK」のクリエイター公募を見つけたんです。「受かったら面白いな」と軽い気持ちで登録したのが始まりです。
当初は「王道のバトル漫画」で企画を出していたのですが、私の好みが少し王道から外れていることもあり、編集の方と「王道とは何か」をすり合わせながら調整して、なんとか現在の形にまとまりました。 受かった時のことは今でもはっきり覚えていて、七夕の日でした。「本当に受かったの!?」という驚きと動揺が大きかったです笑

© 長月観 / SORAJIMA
キャラクター作りは私の専攻である心理学を応用しています。Webtoonの仕事だけでなく、心理学関係の仕事もしているんです。
はい。キャラクターを作る際は、その生育歴――「生まれてから現在までに何があったのか」という過程や、家族構成などを考えるところから始めています。
さらに、キャラクターの特性から「どういう課題を抱えていて、それをどう乗り越えていくのか」という部分を設定します。自分が生み出したキャラクターにはちゃんと課題を乗り越えてほしいですし、その過程をちゃんと物語にすれば面白いはずだと考えています。
「このWebtoonの登場人物は何かを達成する」という構造にしたかったんです。それは人間関係だったり、個人的な壁だったり、キャラによって違います。
例えば、主人公トーリの兄ネイルですね。本作の前に別の企画をしていた段階で、ネームに登場したモブキャラのデザインがすごく好みだったんです。「この人を主人公のライバルか、超えるべき壁にしたい」と思って、ネイルというキャラが生まれました。

© 長月観 / SORAJIMA
―トーリが達成すべき「課題」がネイルなんですね。主人公のトーリや、相棒のような本「ヒゲ」はどうでしょうか?
トーリにはモデルとなる人物がいまして、私はその人に「もっと楽しく人生を過ごしてほしい」と思っているんです。その祈りを込めてトーリというキャラを生み出しました。

© 長月観 / SORAJIMA
ヒゲですが、企画当初はキャラクターとしては全然考えていませんでした。「攻略本が降ってくる」みたいな設定だったのですが、編集さんとの打ち合わせの中で「しゃべった方が面白くない?」という話になり、案内役のような、謎めいたキーパーソンになった具合です。

© 長月観 / SORAJIMA
根拠は心理学に置きつつも、セリフや展開はエンタメ寄りにするように意識しています。
心理学を土台にしているおかげで、キャラクターの特性や過去、それに基づく行動や反応は自分の中で想定できています。ただ、それに忠実すぎると、エンタメとして成立しないというか……リアルすぎて世界観に入り込めなくなる危険があるんです。
なので、割と勢いとノリを大事にしています。「こういうセリフがあったら盛り上がるんじゃない?」みたいな。そうすることで、キャラクターがより躍動するんじゃないかな、ってのは書いていて実感しています。
「大人には大人の役割を果たしてをしてほしい」というテーマがあります。王道のバトル漫画では、15〜16歳くらいの少年たちが世界を救うような展開が多いですが、やはり少年はどこまでいっても子供でしかありません。主人公の支えになる保護者が存在してほしい気持ちが個人的にあります。
『100の魔石の大賢者』にも保護者的な立ち位置のキャラクターが登場します。少年たちをサポートし、いずれは超えられる父のような存在です。そして、彼らを乗り越えて少年たちは大人になっていく――そういう物語にしたいんです。
ネイルはトーリの保護者的な立場ではありますが、彼自身もまだ20代前半で、思春期を少し過ぎたくらいです。 第11話で登場するギルド長のアンガスというキャラがいるのですが、トーリとネイルの精神的な支えになる立ち位置で、私の中では非常に重要なキーパーソンとなっています。

© 長月観 / SORAJIMA
うーん……本当はいろいろ思っていたんですが、いざ作品が公開された今では「どんなふうに感じてもらっても構わないな」と。 ただ、わがままを言うなら、どのキャラクターも愛してもらえたら嬉しいです。私は自分が生み出したキャラクターを愛していますので、応援してもらえたらとてもありがたいですね。
兼業と言うにはおこがましいスケジュールですが(笑)両立の仕方としては、創作に集中する曜日と仕事の日を明確に分けています。今回が初めての商業作品ですので、みなさんの期待に応えたい気持ちがモチベーションですね。
あとは……オタク根性なんですが「綾峰先生のネームが読みたくて執筆している!」というのが正直なところです!

© 長月観 / SORAJIMA
本当にそうなんです。先ほどのネイルの話ですが、彼の元になったモブのキャラデザをしてくださったのも綾峰先生でした。綾峰先生のキャラデザがあったからこそ誕生したキャラが、かなり多いんです。 先ほど触れた保護者的キャラクターも綾峰先生がデザインしてくださったんですが、最初にネームで拝見したときに、「勝ったな」と思いました。このキャラデザで、あの立ち回りをしてくれるなら最高だと。そんな気持ちになりました。
最初に綾峰先生のネームを拝読した瞬間は、感動と衝撃がすごすぎて言葉では言い表せないくらいでした。自分の中のイメージが現実の形として目の前に現れていて「こんなにすごいことがあるんだ」と思ったんです!
とくに、難解な世界観をとても美しく説明するコマを見たときは「どんな作品でも、この方は必ず最高の形にしてくれる」「これが毎話、惜しみなく形になっていくなんて、なんて贅沢なんだ!」と、本当に感無量でした。棺に入るまで、あの感動は忘れないと思います。
今まで私は趣味で書いていたので「自分が読者として楽しめればいい」みたいな意識でいました。ですが、今回は「売れる作品でなければならない」という意識がすごく強かった時期がありまして、そのプレッシャーにとても悩まされました。
でも、綾峰先生から初めてネームをいただいたときに「私が担当するのは起点でしかない」と思えたんです。私が提示したアイデアや脚本はあくまで最初の火種で、その後は制作チームの皆さんが作品をどんどん面白く、売れる形に仕上げてくれるんだと、信頼感が生まれました。
私はこれを音楽のセッションみたいだと思っていて、私が書いたものを綾峰先生がネームに起こし、そこに綾峰先生の「面白い」「売れる」が加わり、さらに編集、背景、色彩、演出と関わる皆さんも含めて、それぞれの技術と感性で肉付けされていく。
そうやってセッションのように完成していく過程が、ものすごく楽しいですし、これは原作者としての役得だなと感じています。
細く長く、書けるものを楽しんで書き続けられる人生であれば、それが私にとっての最大の幸福です。
挑戦したいジャンルはいろいろありまして、ファンタジーでも現代ラブコメでも書いてみたいですね。ただ、どんなジャンルでも「激重感情の応酬」は盛り込みたいです。たとえばコンビものみたいな、キャラクターの関係性と感情のぶつかり合いが大好きなので、そこは大切にしたい。

© 長月観 / SORAJIMA
作品に登場するキャラは敵味方問わず、私にとってはすべて愛しいキャラクターたちです。彼らは一生懸命に生きています。 そんな彼らを読者のみなさんに愛していただけたら、とても嬉しいですし、「がんばれ」と声援を送っていただけたら、もうそれ以上望むことはありません。
『100の魔石の大賢者』にはトーリやネイル、クレック、カハールなど、さまざまなキャラクターたちが登場します。どうか引き続き、彼らを可愛がっていただけますと幸いです。
ありがとうございました!

© 長月観 / SORAJIMA
以上、長月観先生のインタビューでした。心理学を土台にした綿密なキャラクター作りは、大いに参考になるかと思います。
ですが、筆者がそれ以上に印象的だったのは「がんばれと応援してくれればそれ以上望まない」と言い切った長月先生のキャラクター愛でした。愛されるキャラクターを作るには、まず作者自身が愛するべき。その姿勢こそ、一番参考にすべきかもしれません。
『100の魔石の大賢者』はこちら!
