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インタビュー
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脚本家
本日のクリエイター
櫻井綾
先生
漫画原作・脚本家。福島県出身。
脚本家としてWebtoon『幼い悪女はすべてを見通す 』で商業デビュー。
趣味は読書とゲーム。「紅茶を添えて楽しむおうち時間が至福」
夢を叶えるために必要なのは才能だけだと思いますか?
もちろん人それぞれの道のりがあると思いますが、実はそれ以上に大切なのは、挑戦し続ける意志と継続の力なのかもしれません。
妹に裏切られて処刑された主人公が、7歳の幼女に逆行転生し、他人の心を読む力を使って復讐を果たす『幼い悪女はすべてを見通す』。本作が商業デビューという脚本家の櫻井綾先生に、商業デビューまでの道のりやデビュー後の創作スケジュールを伺いました。
実は、ソラジマさんのクリエイター登録をするまでは、創作に関わるようなお仕事は何もしてなくて、趣味で小説を書いていたくらいでした。小説を書き始めたのは10歳からかな。小学校の頃から大学生になっても、授業中にひたすら書いてましたね。
出版社の公募や賞を見据えて書き始めたのは2019年頃です。『小説家になろう』っていうサイトにアカウントを作って、一つの物語を週に一回くらいのペースで定期的に連載するようになりました。小説をウェブ上で連載するようになってからは、あちこちのコンテストにも応募しました。
基本は自分の好きなロマンスファンタジーですね。ファンタジー色が強い中に恋愛要素があるような、児童文学に近い感じのライトノベル系のものをよく書いています。
自分が読み手の時は、ファンタジーであれば主人公の性別は問わない感じで読んでいますが、女性が主人公なら恋愛を楽しんでますし、ライト文芸ならミステリーっぽいものも好きで読んでますね。
もともと 子どもの頃から本を読むのが好きだったんです。海外の児童文学から始まって、ライトノベル、ハードカバーといろいろ読みましたが、どれもすごく面白かった。ファンタジーの世界を舞台にした作品をたくさんインプットしていくうちに、自分もこんな素敵な物語を書いてみたいっていう気持ちになりました。
そんな感じで、漠然と小説家になりたいという気持ちは学生の頃からありましたが、小説家を将来の夢にする危うさも感じていました。大好きな作家さんが「夢だけを追い求めて、人生のすべてを賭けてはいけない。手に職をつけ、その経験も生かして小説を書くといい」とおっしゃってたのが、ずっと印象に残っていたこともあって。
商業に携わりたいという気持ちはずっとありましたが、それだけを追いかけてきたわけじゃなく、社会人として働いたり、子育てをしたり、書くだけでない人生経験を積みながら、書き続けてきました。
『小説家になろう』というサイトで、2019年から自主連載を開始し、2024年の6月に完結した自主連載の長編ファンタジー作品があるんですが、完結までに約5年がかかりました。連載の間、週に一度は必ず更新すると決め、一度も休載せず、出産を経験した週も更新し続けました。
5年間休まず絶対に更新することで培った継続力と経験は、現在、実際にWebtoon脚本家として週刊連載する上で役立っています。週刊連載の脚本は、1週間に1話を編集者さんとすり合わせながら完成まで上げないといけません。でも私はこのペースが最初から全然、苦じゃなかったんですね。それは、5年間の自主連載経験があったからだと思うんです。
まずはやっぱり、見てくれる読者さんがいたことですかね。一定数、ずっと作品を追いかけてくださった読者さんたちがいたんです。読んでくださる感謝と喜び、もっと楽しんでもらいたいっていう気持ちがあったので、翌週もしっかり書いて仕上げようという気持ちになれました。他にも、純粋にお話を書くのが楽しいというのもありましたし。

スタート時はWebtoonの基本ルールというか、たとえば3話までの間に、主要登場人物を読者が好きになれる要素を詰め込まないといけない、みたいなことが分かってなかったんですね。長編小説だと物語の中でいろんな変化があって、長期的な流れの中でキャラクターの好感度を調整できますが、Webtoonはそうじゃない。そういう小説との見せ方の違いが感覚的に分かっていなかったので、最初は苦労しました。でも、丁寧にフィードバックをいただけたおかげで、気づけたことがたくさんありました。
編集者さんのフィードバックの中でも、「セリフやシチュエーションがものすごく良くて、思わず声が出ました」と言っていただけた時は、本当にものすごく嬉しかったですね。
1話の冒頭については、特別大切な部分なので、編集者さんと一緒に、ものすごい量の案出しをして、脚本もたくさん書きました。打ち合わせも5時間くらいして、どれがいいのかみっちり話し合いました。逆に3話のラストの引きについては、ほぼ一発で決まりましたね。バッチリハマる案が出るまで、掛かる時間はマチマチです。
Webtoonは冒頭を楽しんで読んでもらえたら、だいたい3話まで読んでくださる方が多いんですよね。なので、ツカミをもっと良いものにして、絶対に読者を離さないようにしよう、と編集者さんと話しました。私と編集者さんの気合というか根性というか。1度で5時間かけた打ち合わせ以外にも、何回も何回も打ち合わせはしていて、絶対に面白いものにするというお互いの熱量がすごかったです。その時のことは今でも、担当編集者の工藤さんと「あの時は頑張ったよね」とよく話します。
自分がやりたいこと、こうしたら面白いと思った部分を我慢せずに全部ぶつけることは、意識していました。特に、担当してくださった編集者さんは、制作の熱量がとてもある方だったので、すごく波長が合いましたね。やんわりと意見を言い合うんじゃなくて、こういう理由でこれがいいと思う、という意見をお互いに容赦なくぶつけ合えましたし。はたから見ると喧嘩してるように見えるくらい、激しい意見のぶつけ合いもして。
それだけ熱量の高い編集者さんに、自分の商業デビュー1作目のプロジェクトを担当していただけたのは、本当に幸運だったなと思っています。
ものすごくありました。5年間1人で自主連載してた時と比べて、何倍も大きな学びが本作の準備期間から連載に至るまでの間にあったと思います。編集者さんのフィードバックや指導のおかげで、自分がどんどんスキルアップしていくのを感じました。
今はインターネットを通じて学べることもたくさんありますが、編集者さんとのやりとりは、そういったものとは質の違う学びだったんですね。真剣に作品制作に向き合う中で生まれた学びは本当に大きくて、自分が知らなかった改善点が、まだまだたくさんあるんだと驚かされます。
一人で書いてると、どうしても独りよがりになっちゃうんですよ。誰も「もっとこうすればいいよ」なんて言ってくれないので。担当編集者さんがついてプロジェクト化していくと、物語の作り方やキャラの見せ方、どうしたらもっと面白くできるかというのをすごく考えます。そこが本当に勉強になりましたし、一人ではできない学びだったと思います。
主人公・アリシアの強さと、対立する悪女・リリアンの強さは常に意識していますね。ロマンスファンタジーのヒロインは守られキャラになりがちなんですが、本作の主人公・アリシアは、守られる側ではなく、精神的な強さがあるキャラクターです。また、アリシアを取り巻くサブキャラクターの個性や、それぞれがもつ物語も大切に描くようにしています。
本作の主軸として、アリシアが悪女という立場で復讐をしようとしますが、アリシアを突き動かしている感情は、逆行する前の自分を虐め殺したリリアンへの復讐心です。リリアンへの怒りの感情が根底にあり、それがアリシアを強くしているので、復讐心の強さがキャラの強さにリンクするように意識して作りました。
見た目が幼い女の子が、大の大人をひざまずかせていく爽快感ですかね。賢さや能力を武器にしてうまく立ち回り、悪役を屈服させる気持ちよさ、面白さを意識しています。

連載が始まる前の準備期間は、キャラクターの深掘りや編集者さんとの認識合わせも必要でしたし、1話を仕上げるのに1週間くらいでできたこともあれば、今後の流れなど細かい部分まで組み立てるのに2〜3週間かけたこともありましたね。
連載開始後の1話の作り方については、大きなストーリーの流れを考えてから、それを細かい各話に落とし込むような作り方をしています。たとえば、「カジノ編」のような大きなストーリーの山があったとして、「カジノ編」が始まって解決するまでの流れを、小さな塊で分けた構成として組み上げます。その全体構成を仕上げるのに、長くて3日くらいかかります。
そうしていくうちに、その大きな事件一つに盛り込みたい要素や、盛り込みたい要素から膨らんできた物語とか、各話の流れみたいなのがだんだん見えてきます。それから各話ごとに構成とプロットを1~2日くらいかけて作り、そこから初稿として脚本を仕上げるのに1日、修正作業に2~3日、みたいな感じです。
キャラクターがそのセリフを言うときに、どんな気持ちで言っているのか、背景情報などの細かい部分を脚本にたくさん記入しています。たとえば「悲しい雰囲気」や「寂しい雰囲気」で演出して欲しいです、という具体的な言葉のほかに、「青っぽい背景色にしてください」とか「花がふわっと舞うようなイメージでお願いしたい」みたいな言葉を添えていました。
他にも、キャラクターの背景にこういう小物や人物が映るようにして欲しい、という希望をたくさん書くことで、こちらの意図やキャラクターの心情、行動の意図が分かりやすく伝わるように意識しています。それでも意図が伝わり切らなかったり、質問をいただくことはよくあるんですが、遠慮なく質問して欲しいという希望は、担当編集者さんにお伝えしています。
本作は、私が脚本段階でイメージしていた以上の素晴らしい表現に昇華してくださっていて、後工程のクリエイター様たちには、いつも感謝の気持ちでいっぱいです。Webtoonは複数人で制作しているので、脚本段階での意図が極力伝わるように、演出欄に詳しく記入するようにしています。それが完成原稿になった時、想定をはるかに上回る美しさで素晴らしい原稿が上がってくる喜びが、分業型のWebtoonというチーム制作の醍醐味に思います。
完全に自分の趣味ですね笑。私の趣味は読書とゲームなんですけど。自分の趣味で手に取った作品やゲームのシナリオやキャラクター、自分が好きだなと思うものを、どんどん自分の引き出しにしまっていって。そうして日々、ストックされたものを、創作の際に思い返すって感じですね。自分が好きなことをする時間や趣味の時間を大切にし、それをインスピレーションの元として大切に扱ってるんです。

両親に子どもの頃からの夢の一つを認めてもらえたのは、大きかったと思います。応援はずっとしてくれてたんですが、作家業で仕事をするのがどれだけ難しいかというのは、両親も理解していましたし。
学生の頃には「そろそろ現実を見てもいいんじゃないの」なんて言われたこともありました。でも、実際に商業としてお仕事もらえたよと報告したら、今では毎週、作品を読んでくれて「ここが面白かった、ここがよかった」と言ってくれます。全面的に私の夢を認めて応援してくれてるんですね。
いつまでも夢物語を追ってないで現実を見たら?、みたいな空気だったのが、「頑張って!応援する!」っていう空気に変わりました。まさにソラジマさんのログライン「誰もがバカにする大きな夢を叶えてみせるー。」という一言が、自分に起きたなっていう気持ちで連載の開始を迎えたのを覚えています。実際に連載スタートして、現在たくさんの方に読んでいただいているのが、信じられないくらい幸せです。
『幼い悪女はすべてを見通す』の立ち上げを担当してくださった編集者の工藤さんと、次回作もぜひ一緒にという嬉しいお言葉をいただいていて、そちらを準備中です。それ以外にも、ソラジマの公募をきっかけに出会った編集者さんから、新しい企画を一緒に立ち上げませんか、とお声がけいただき、そちらも準備しています。なので、新作2作品を準備中ですね(こちらもぜひお楽しみに!)。
デビュー後の顔合わせで一度、ソラジマ本社にお伺いしたことがありました。担当編集の工藤さんとも、「連載も順調にいってよかったね」と話をして。
その時、ソラジマの会社の壁に「誰もがバカにする大きな夢を叶えてみせるー。」と書かれているのを見て、「私の夢も叶いました、ありがとうございます」と、工藤さんにお礼をお伝えしたんです。
そしたら工藤さんが「櫻井さんの長年の夢が叶った瞬間に立ち会えて、本当にうれしいです」って言ってくださったんですよ。その一言がずっと忘れられないほど、本当に本当にうれしかったので、この場を借りて改めてお礼をお伝えさせてください!
諦めず、根気よく頑張れば、努力は色々な形で応えてくれます。これを読んでくださった皆様の夢も、叶いますように!

▼あらすじ
貴族家に生まれながらも、婚外子として周囲から冷遇され続けてきた主人公アリシア。
唯一愛情を向けてくれていた妹リリアンにも裏切られ、処刑されてしまうが、気がつくと7歳の姿に戻っていた。 手元には見覚えのない指輪が光っており、自分だけが他人の心を読めることに気づく。 「幼女の姿」と「読心術」を使って、幼い悪女として復讐を決意するが──。『幼い悪女はすべてを見通す』を読む
