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「マンガを捨てない」ちくわ先生の信念――ドッキドキのハレンチ漫画賞準大賞で掴んだ夢と挑戦の日々

本日のクリエイター

ちくわ

先生

マンガ家。大学でマンガ制作を学ぶ。
『男の僕がとなりのお姉さんに女だと勘違いされています』で「ドッキドキのハレンチ漫画賞」準大賞を受賞。
少女漫画や可愛らしい女性キャラクターが好き。

ユニークでドキドキしてしまう作品たちが集まる「ドッキドキのハレンチ漫画賞」。その準大賞を受賞したのは、Webtoon作家・ちくわ先生!

受賞作『男の僕がとなりのお姉さんに女だと勘違いされています』は、思わず「どんな話!?」と気になってしまうタイトルが印象的です。

今回は、ちくわ先生に作品誕生の裏話や、マンガを描き続ける「情熱の源」を伺いました。マンガを愛するすべてのクリエイターに贈る、とっておきのインタビューです!

何を描いてもハレンチになってしまう!?運命を感じた「ドッキドキのハレンチ漫画賞」

―「ドッキドキのハレンチ漫画賞」の受賞おめでとうございます!コンテストを知ったきっかけはなんだったのでしょうか?

ソラジマさんのクリエイター登録をしていて、LINEも追加していました。そこから「ドッキドキのハレンチ漫画賞の募集があります」と通知が届いたんです。それで、「これは私のためのものではないか?」と思って、応募してみました。

マンガを描く時、特に意識しているわけではないのですが、描いてみたら結果的にハレンチな内容になっていることが多いですね。例えば、「白いブリーフで変身する魔法少女」を描いたり……。気づいたらハレンチな方向に進んでしまうんです(笑)

―では、ちょっとハレンチなマンガを参考にした……というわけではないんですね。

そうですね、読んでいる漫画の9割が少女漫画です。

望んでいない才能が表に出てしまったような感覚ですね(笑)

キャラ作りの秘訣は?「可愛さ」を追求したら生まれた主人公・伊織くん

―今作で登場する「伊織くん」、とてもかわいいですよね。リアルな「男の娘」といった感じですが、どのようにキャラクター作りをされたのでしょうか?

コンテストのテーマを見て「何か描いてみようかな」と思った時、「ハレンチ漫画には男性キャラクターも必要だ」と感じました。ただ、男性キャラクターを書くことには少し抵抗があったので、むしろ女性的なキャラクターにしようと思ったんです。それで「伊織くん」が生まれました。

男性キャラクターよりも、可愛らしい女性のキャラクターの方が好きなので。

―「伊織くん」の自然なのに女性らしく見えるスタイルが印象的でした。繊細な描写がとてもお上手ですね。

ありがとうございます。「ハレンチ漫画なら、キャラクターが可愛くないといけない」と思いながら描いていたので、そこを見抜いていただけたのが嬉しいです。

でも、普段はギャグ漫画を描くことが多く、「可愛い」「綺麗」といったなキャラクターを描くのは得意ではなかったので、試行錯誤しながら描きました。特に、照れている表情や伏し目がちな仕草などは何度も描き直したんです。

照れている表情も、2~3回書き直した覚えがあります。表情やキャラクター作りにはかなりこだわりを持って取り組みました。

―今作の自分のキャラクターのうち、お好きなのは「伊織くん」ですか?それとも「お姉さん」ですか?

キャラクター設定に関しては、伊織くんを先に考えたので、伊織くんですね。

お姉さんのキャラクター設定は、伊織くんを作った後、お姉さんキャラ好きの友達に「どんなタイプが好き?」と聞いて設定に使いました。なので、お姉さんのキャラクターイメージは友達の好みがベースになっています。

完成したお姉さんを見て、友達は「好みすぎてちょっと困る」といった反応でしたね(笑)

こだわりは衣装にも!?楽しく苦戦した作画の裏側

―今回の作品はお部屋の中がメインの舞台でしたが、間取りなど背景の描写は苦ではなかったですか?大変だった描写があれば教えてほしいです。

背景に関しては、3D素材を活用することが多いです。私もCLIPSTUDIO PAINTの素材を使いました。ちょうどいいワンルームの素材があったので、「これを使おう!」と。おかげでスムーズに仕上げられました。

あと、ちょっと変に聞こえるかもしれませんが、下着や装飾を考える時間が楽しかったです(笑)例えば、ブラジャーにレースや装飾を加えると意外と華やかさが増すので、そこを工夫するのが楽しく感じました。参考になる画像がなかなか見つからなくて苦労しましたが、難しいけれど楽しかった描写ではあります。こだわり甲斐がありました(笑)

―かなりこだわられたんですね!(笑)普段から装飾の多い服を描くのは好きですか?

普段はそこまで装飾にこだわっていませんが、制服のスカートのしわやフリルを描くのは結構好きです。描いているうちに「もっとこだわりたい!」と思うようになってきました。

最近、新しい漫画でワンピース型のスカートを用いた制服を描こうと考えています。これまでのセーラー服やブレザーとは違った雰囲気になるので、また新しい表現が楽しめそうです!

Webtoonを描くのは自然な流れだった――ちくわ先生の創作ルーツ

―Webtoonを描こうと思ったきっかけは何かありましたか?どのくらい前からWebtoonに触れてきたのでしょう?

Webtoonというマンガの形式が登場し始めた頃から、ずっと普段の楽しみとして読んでいました。2008年か2007年くらいから読んでいると思います。

いざマンガを描こうと思った時も、自然とWebtoonを描く選択がをしましたね。Webtoonって大変そう」とあまりいいイメージを持てていないクリエイターさんはいると思いますが、私にとっては馴染みのある形式のマンガだったので、挑戦しようと素直に思えました。

―Webtoonの形式に慣れているとのことですが、やはり横読みマンガと比べると、縦読みマンガの方が「読みやすい」「描きやすい」と感じますか?

最初にWebtoonを描いた時は、「横読みマンガの方が好きだな」と思いました。でも、Webtoonは流れがスムーズで、視覚的にインパクトがあります。読むにしても描くにしても、縦読みマンガも横読みマンガも、どちらもそれぞれの良さがあると思います。

従来の横読みマンガの良いところは、全体図が一目で見える点です。ただ、ネームを描く作業に関しては、Webtoonの方がスラスラと書けましたね。自分には合っているなと。今作のネームは構想ができていたので、4日ほどで仕上げられました。

―横読みマンガを描き上げた経験もありますか?

何度か作品を完成させたことがありますよ。ただ、完全に描ききるたびに新しい発見や課題が出てくるので、毎回挑戦の連続です。

ちなみに、私は大学でマンガの勉強をしていたんです。大学での学びも、創作活動をするうえでとても貴重な経験になりました。

Webtoonは「読みやすさ」が命!ちくわ先生が作品作りで意識していること

―ちくわ先生にとっての「萌え」要素はなんでしょうか?今作に出てきたキャラクターが「萌え」ですか?

特にこだわりがあるわけではないのですが、あざとい系の女の子が好きです。性格的には、ちょっと悪めの小悪魔的なタイプが好みですね。『おジャ魔女どれみ』に出てくる「おんぷちゃん」のような子が好きなんです。

―では今回の「ハレンチ」がテーマとなっているキャラクターたちは、描くのが少し難しかったのではないですか?

そうですね、普段は子どもっぽいキャラクターやあどけない感じの子を描くことが多いので、大人の女性を描くのは少し苦戦しました。あどけなさを消して色気を出すのは難しかったです……。

伊織くんについては、K-POPアイドルに伊織くんのように女性らしい美しさを持つ男性が多いので、通じるものがあるなと感じて参考にしました。いわゆる「イケメン」はたくさんいても、どこか現実的ではない幻想的な雰囲気を持つ「美人」はなかなかいないと思うんです。

伊織くんにはそうした雰囲気を持たせたくて……。難しかったけれどこだわりました。

―ありがとうございます。ちくわ先生がWebtoonを描く際に特に大事にしていることはなんですか?

一番意識しているのは「読みやすさ」です。Webtoonは縦スクロールで進む形式なので、コマの配置やキャラクターの位置関係、流れがスムーズであることが重要だと思います。配置が悪いと、読み進める際に違和感が出たり話が途切れてしまう感じがするので、そこは特に注意して描いています。

区切りすぎるとぶつ切りに感じますし、間延びしすぎるとテンポが悪くなるという難しさがありますね。

ちくわ先生が考える今後の展望と「リアル」な目標

―今後の目標は立てられていますか?

少し現実的な話になるかもしれませんが……。

Webtoon作家さんは、個人の作家として活動されている方もいれば、Webtoon制作会社に所属している方もいます。プロジェクトに参加してネームだけ書いたり、線画だけ担当したりする方も多いと思います。

今後、私としては、ネームや下書きを請け負うような形で会社やプロジェクトに関わりつつ、業務委託として安定的に仕事をいただくことが目標です。初期の頃から安定して活動を続けたいという気持ちは強いですね。

―ちなみに、コメントで「連載してほしい」という意見も見かけたのですが、仮にご自身が作品を連載するとしたら、どのようなストーリーを描いてみたいとお考えですか?

昔から魔法少女モノを描きたかったんです。最近はそこまで多くはないと思うんですけど、だからこそ一度は魔法少女モノを描いてみたいと考えています。

魔法少女モノは現代が舞台なのに、フリルやリボンがいっぱいの衣装を着られるのが魅力なんです。女の子ってみんなドレスに憧れる存在だと思っていて。そういう感覚で魔法少女ものを描きたいなと思っています。

ただ、私が描くと白いブリーフをかぶった女の子みたいなのが出てきてしまうかもしれませんが……(笑)

―今回の受賞作品はモノクロで描かれていましたが、カラー漫画に挑戦してみたいという気持ちはありますか?

実は、気まぐれで描いた漫画はカラーで描いたことがあるんですが、そこまでカラーリングが得意ではなくて……。モノクロでも表現できるなら、自分が描きやすいモノクロでいいかな、という考えになりましたね。もちろん、機会があれば描かないわけではないですが、できれば避けたいというのが正直なところです。

それに、「Webtoonは絶対にカラーじゃないとダメ!」という考えを持つ方もいますが、モノクロでもすごく魅力的な作品はあります。むしろ、描き方次第ではモノクロの方が迫力や表現の深みが増すこともあるのではないかと思うので、そういう固定観念がどんどん減っていけばいいなと思っています。

「マンガを捨てないで!」ちくわ先生が届けるエール

―これからWebtoonを描きたいと考えている方へのアドバイスについてお聞きしたいです。どんなことを伝えたいですか?

一番実用的なアドバイスは「CLIP STUDIO PAINTの機能をしっかり調べておくこと」だと思います。

最近では3Dキャラクターや3D素材を活用して描く方も増えています。もちろん練習がまったく不要というわけではないですが、横読みマンガと比べるとCLIP STUDIO PAINTの機能を使いこなせるかどうかが作業スピードに直結すると思うんです。

私自身が横読みマンガをアナログで描いていたのでわかることですが、デジタルとアナログとでは描き心地や仕上がりに微妙なズレを感じます。そうしたズレをすべて実力で埋めるよりも、機能を活かして埋める方が楽だし、合理的です。Webtoonにおいては、これが一つのトレンドでもあるのかなと。

CLIP STUDIO PAINTが「マンガ特化ツール」みたいになっているので、他のソフトを使う理由はなく、必要な機能がすべて揃っていると感じています。

多種多様な3Dアセットが使えるCLIP STUDIO PAINTは、Webtoonクリエイターの強い味方ですね!

―世のWebtoonクリエイター、これからクリエイターを目指す人たちへ「絶対に伝えたい!」という想いはありますか?

実は、私は2~3年くらい前にマンガを諦めようとしたことがあるんです。でも、どうしても好きなものを捨てられなくて。それで「気楽に、別に食えなくてもいいから記録として描いてみよう」と思って描いたのが、今回の受賞作になったんです。

だから、みなさんにも気楽にマンガを描いてほしいという想いがあります。私の周りにも諦めようとしている方がたくさんいるんですが、彼らのマンガが私はとても好きなんです。なので、「趣味でもいいから、マンガを描くことを捨てないでほしい」と伝えたいですね。

また、「カラーが描けないからやめよう」と考えずに、モノクロでも挑戦し続けてほしいです。

「好き」を描き続ける――ちくわ先生のマンガ愛は止まらない!

ちくわ先生は、横読みマンガからWebtoonまで幅広い「マンガ」という世界を愛し続けてきたクリエイターでした。

時には、お気に入りのWebtoon作品『JKドラゴン』につい課金してしまうほど、マンガへの情熱は尽きません。

「気楽に描く」――それは簡単そうで難しいけれど、創作を続ける上でとても大切なこと。

マンガを愛するすべてのクリエイターに響く、ちくわ先生の言葉が心に残るインタビューでした。

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