


背景
初級
本日のクリエイター/作家

kage
先生
中国出身の背景・仕上げクリエイターとしてWebtoon制作に携わる。繊細かつ美麗な仕上げ技術と、それをハイスピードでこなす手の速さを両立させた職人。代表作『北部戦士の愛しい花嫁』『お嬢様?と一夜の過ちを犯しました』。プロフィール画像はkage先生の愛しい飼い猫です。
「Webtoonの背景や仕上げ、時間がかかりすぎてツラい…」と悩んでいませんか?
ゴージャスなフルカラー作画が要求されるWebtoonでは、背景や仕上げ作業はとくに時間がかかる傾向にあります。プロとしてやってくるなら、作業の効率化をめざしたいですよね。

そこで今回は、人気Webtoon『北部戦士の愛しい花嫁』の背景・仕上げを手掛けるkage先生の効率化メソッドを徹底取材! 使いたいガジェットやCLIP STUDIO(クリスタ)などの環境設計から、ハイスピードで作業を進めるための習慣まで、初心者にも真似できる時短術を大公開します! 背景・仕上げ担当を目指す人はもちろん、ネームや作画志望のクリエイターも参考にしてください!

©kage
「形から入る」という言葉があるように、外から見える環境を整えることが作業効率化の第一歩です。まずは、kage先生の実際の作業環境をご紹介します。
kage先生の作業環境は、ノートパソコン、外付けディスプレイ、ペンタブ等のガジェットをメインに構成されています。
優先順位としては、
CLIP STUDIO PAINTなどの制作ソフトを快適に動かせるパソコン
描画に必要なペンタブレット
(作業スペースに余裕があれば)外付けディスプレイ
まずはこの順番で揃えて、ある程度作業環境が整った後に自分の作業工程に合わせてガジェットをカスタマイズするのがおすすめです。
また、パソコンは仕上げなどの2D作業ならノートパソコンで十分ですが「Sketch UP」といった3Dソフトを多用する背景制作では負荷が大きくなります。その場合は、動作の安定性に優れるデスクトップパソコンの導入を検討しましょう。
背景制作で便利な3Dソフト・Sketch UPについては「背景制作を革命する!Webtoon最強の3Dソフトは『SketchUp』だった!」でも解説しています!

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ガジェットを導入したい人に知ってほしいのが、左手デバイスの活用です。
kage先生はゲームパッドの「8BitDo Zero 2」にクリスタでよく使うショートカットキーを割り当て、作業を補助する左手デバイスとして活用しています。左手で多彩な操作ができるのでキーボードに触る回数が減り、作業の流れを止めずに進められるわけです。
kage先生が「作業の効率化に最も貢献している」と語り、突然の電池切れにも対応できるように予備を用意するほど愛用しています。

©kage
kage先生のショートカット設定は画像の通りです。左手デバイスの導入をしたい方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。
Point!
プロの作業場を参考にして自分に最適な環境を構築しよう!
タテラボでも推奨しているクリスタには、驚くほど多くの機能が搭載されています。「え、そんな便利なのがあるの!?」と思えるような機能をプロは使いこなしているのです。
kage先生が愛用しているクリスタの便利機能を見てみましょう。
とにかく手を動かし続けたい背景・仕上げ作業では「よく使う画像を探す」「レイヤーを管理する」といった細かい手間の積み重ねが大きなロスにつながります。
そんなときは、クリスタの機能で煩雑な工程をテンプレート化し、毎回ゼロから設定する手間を省いてみましょう。kage先生が活用している機能はこちらです。
素材登録機能



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よく使う画像やレイヤー構成を素材として登録し、繰り返し使えるようにする機能です。あらかじめ素材として登録しておくことで、毎回一から作り直す手間を省けます。
レイヤーの素材テンプレート化

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名前やグループ分け、並び順で使いやすいようにレイヤー構成のテンプレートを作っておき、素材として登録。使う際は素材パレットからドラッグ&ドロップで即座に呼び出せる機能です。
毎回レイヤーを一から作成したり、名前を付けたりする手間を省けるため、すぐ制作に取りかかれます。
オートアクション
kage先生が「これに気づいてから作業効率が大きく上がった」と語ってくれたのがオートアクション機能です。

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オートアクションとは、複数の操作を記録してまとめて行うことができる機能で、「CLIP STUDIO ASSET」からオートアクションのセットを探してダウンロードするのもおすすめです。

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たとえば、イラストを適度に光らせるグロー効果は、レイヤーの調整やぼかし等で手間のかかる作業です。それらの煩雑な作業をオートアクションで簡潔に行えれば、かなりの時短になります。
ほかにも吹き出しの加工、線画の色変更など、よく使う反復操作を登録して自動化することで、ロスを最小限に抑えられます。オートアクションでは、自分がよく使う反復操作を登録してみましょう。
光の演出や画面の雰囲気作りは仕上げ担当の腕の見せ所です。高いクオリティを維持しつつ短時間で作りたいときは、レイヤーの合成モードを活用します。

©kage
「加算(発光)」で光や発光表現を加え、「オーバーレイ」で全体の色味や明暗を調整、「スクリーン」で柔らかい光を足すといった使い分けをすることで、手間のかかる発光演出をスピーディーにこなせます。
ここまで紹介してきたクリスタ機能の活用法も、kage先生がもっと速く、上手くなるために試行錯誤をくり返して発見したものばかりです。
そんな先生も「自分が知らないクリスタの機能はまだまだある」と語っています。クリスタを使いこなすには、普段からさまざまな機能を積極的に試してみて、自分に合った方法が模索する姿勢が一番大切です。
自分の作業に合った効率化の方法を探求し続ける姿勢こそが、作業速度を劇的に向上させる最大の鍵になります。
Point!
クリスタの使い方ひとつで作業スピードは劇的に変わる!
形から入った次は中身です。作業環境を整えたら、どんな意識を持って作業をこなすべきかをプロから学んでみましょう。
今回は、「初心者が作業効率を上げるにはどうすべきか?」というテーマをもとに、kage先生が提示してくれた3つのヒントをご紹介します。
作業を速める最大の秘訣は「実際に手を動かす前に完成形をイメージしておく」です。
具体的には、ネームを見た段階で「全体をどんな雰囲気にするか?」「色味や光の演出はどうしようか?」など、プランを頭の中で組み立てておきます。最初にある程度の方向性を決めておくことで、作業中に「次は何をしよう?」と迷う時間がなくなり、スムーズに筆が進むようになるのです。

©kage
kage先生によると、ネームで指定された構図と自分のイメージが異なることもあるそうです。そんな時は、用意したイメージ図をもとに編集さんとよく相談して最終的な構図を決めていきます。
スケジュールが厳しくなると「雑でもいいからスピードを上げて間に合わせる」か「あくまでクオリティにこだわる」の二択に陥りがちですが、プロはそのどちらも選びません。
kage先生はスケジュールが押してきたら「スピードか、クオリティか」の二択ではなく「どこに時間をかければ画面全体のクオリティが一番上がるか」を考え、優先順位を付けると言います。

見せ場や作品の雰囲気そのものを左右するシーンは背景も仕上げもしっかり時間をかけて作り込み、逆に影響が少ない部分は手早く仕上げます。
すべての背景や仕上げを完璧に仕上げることが、必ずしもクオリティにつながるとは限りません。むしろ、メリハリを付けてスピードもクオリティも両立させることが、プロの仕事と言えます。
それでも時間が足りない緊急事態では、立体感や雰囲気を左右する光と影をしっかり入れることを優先するそうです。
背景担当は資料を頻繁に使いますが、「あの資料どこやったっけ?」とフォルダを探し回るのは時間の無駄です。うまく描くテクニックはすぐ身に付きませんが、資料を管理する意識はすぐ身に付けられます。
kage先生は、以下のように保存時のルールを設けて管理しています。
国・地域別: 作品に登場する国や地域ごとに素材を分類する
用途別: 動物や小道具など、何に使うものかで分けて整理する
このように整理してすぐに取り出せるようにしておけば、一から探し直す必要がなくなります。ルールは自分が使いやすいように設定すればいいので、まずは普段よく使っている資料をリストアップするところから始めてみましょう。
Point!
手が遅いのは迷っているから! 「迷わない」テクニックを駆使してこそのプロ!
最後にお伝えしたいのが、背景や仕上げのプロとしてやっていくための心構えです。プロは作業をしているときだけでなく、何気ない日常のなかでも技術を高める習慣を続けています。
ここでは、ちょっとした意識づけですぐに実践できるkage先生の習慣を解説します。
作業が始まってから「このシーンにぴったりな素材はないかな?」と探すのは時間がもったいないですよね。kage先生は日課として、毎日クリスタの素材ランキングやアセットサイトをチェックしているとのこと。
新しく公開された素材や、他のクリエイターの方がよく使用している素材をチェックし、普段から使えそうなものを集めておけば、作業が始まってから探す手間が省けます。こういった準備もプロの仕事です。

また、作品の世界観に合いそうなアセットをあらかじめチェックしておくことも大切です。作業スピードが上がるのはもちろん、クオリティアップにもつながります。
初心者の作業が遅くなってしまうのは、スピードよりも「どう処理すればいいのか分からずに迷っている時間」が多いからです。頭の中にすばらしいイメージはあるけど、具体的にどう腕を動かせば良いかが分からず、理想と現実のギャップに苦しんで時間だけが過ぎていくパターンですね。
これを克服するには、普段からさまざまな作品を読んで表現の「引き出し」を作るようにしてみてください。自分が「いいな」と感じたものを発見したら、「この画面はなぜ魅力的なのか」「どうやって光を使っているのか」などを言語化し、自分なりに分析することが大切です。

そうして分析した表現はあなただけの引き出しとなり、頭の中のイメージを形にする助けになってくれます。試しに、『北部戦士の愛しい花嫁』第16話のワンシーンを掲載しましたので、あなたなりに分析して引き出しに加える練習をしてみましょう。
Point!
スピードアップしたいなら意識を変えるべし! 効率化の道は日頃の習慣から始まっている!
Webtoonの最前線で活躍する背景・仕上げプロの秘訣をたっぷりお見せしてきました。
効率化のポイントは、「自分に合った作業環境の構築」と「迷う時間を減らす事前準備」にありました。まずはできそうな環境設定や整理から取り入れて、あなたに合った時短メソッドを見つけてみてください。

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