


ツール
初級
「レイヤー分けって、どんなやり方がいいんだろう?」と悩んだことはありませんか?
明確な決まりが存在しないレイヤー分けは、クリエイターごとにこだわりが異なるため、Webtoon初心者にとっては最適な方法が分かりづらいものです。
この記事では、Webtoonクリエイターが押さえておくべきレイヤー分けの基本ルールと、実践ポイントを分かりやすく解説します。
アナログで描いてきた方や、自己流でデジタル作画をしてきた方の中には、レイヤー分けのルールを面倒に感じる方もいるでしょう。
しかし、的確なレイヤー分けはWebtoon制作において、作品の面白さ以前にチェックされる「前提」と言えるポイントです。
その理由は、主に次の2点です。
背景やキャラクターをレイヤーで分けておけば、特定の部分だけを修正したい場合でも他の箇所に影響を与えることなく作業を進められます。たとえば、キャラクターの表情だけを直したいのに、関係ない背景やフキダシまで崩れてしまったら困りますよね。ルールに基づいてレイヤーを分けておけば、そうしたトラブルを防げます。
特に、Webtoonは多人数で1つの原稿を作り上げるチーム制作が基本です。ネーム、原画、背景、着彩、仕上げと工程ごとに担当者が異なるため、レイヤーを的確に分けることで、それぞれの作業がスムーズに進みます。
Webtoonでは、海外展開も頻繁に行われます。その際、翻訳に伴う文字の差し替えやフキダシの調整が必要になりますが、レイヤーが適切に分かれていれば、この作業が格段にスムーズになります。
逆に、レイヤーが整理されていないと、日本語の文字が意図せず残ってしまうなど、作品の品質を損なうおそれがあります。また、海外のプラットフォームでは表現の調整が求められることもあり、該当箇所が別レイヤーになっていれば、迅速な対応が可能です。
Point!
レイヤー分けは、品質の維持、作業の効率化、海外展開の基盤となる重要な工程です。
チームで制作するWebtoonでは、制作環境を統一し、後工程でのトラブルを防ぐために、ファイル形式や設定に関する基本的なルールを設ける必要があります。
まず、作業ソフトはCLIP STUDIO PAINT(以下クリスタ)が推奨されます。ページ設定は、幅を1440px(または720px)、解像度は350dpiで統一しましょう。

JPG形式で書き出す際は、クリスタのWebtoon書き出し機能を活用するのがおすすめです。特に幅1440pxで制作した場合、書き出し時に画像サイズが上限を超えることがあるため、その際は50%に縮小して出力するよう注意してください。
Point!
描き始める前にページ設定を統一し、適切なファイル形式で提出できるよう準備しておきましょう!
ここでは、レイヤー分けに関する具体的なルールを解説します。
基本的なレイヤー構成は、下から順に「背景」「人物」「フキダシ」「セリフ」「描き文字」と配置するのが理想です。描き文字が最前面に表示されるイメージです。
この順序と分類を守ることで、後工程での作業効率が大きく向上します。たとえば、セリフや描き文字だけを調整したい場合に、それらが人物や背景と統合されていると、編集が非常に困難になります。
また、人物の表情のみを変更したい場合や、背景の色味を調整したい場合にも、レイヤーが丁寧に分けられていれば、該当するレイヤーだけを効率的に編集できます。カテゴリごとにレイヤーフォルダを作成し、ネーム段階から整理を意識することで、線画、着彩、仕上げといった各工程をスムーズに進められます。

また、パレット上のレイヤーに色を設定できる「パレットカラー」機能を活用すれば、視覚的にレイヤーを区別できるため非常に便利です。
たとえば、「人物は青系」「背景は緑系」「文字関連は黄色系」といった具合に色分けしておけば、各レイヤーが何を描いているかを瞬時に判別しやすくなります。「あれ? あの絵はどのレイヤーだっけ?」と探し回る時間を削減でき、作業効率が大きく向上します。
Point!
基本の順序は「背景 → 人物 → フキダシ → セリフ → 描き文字」です。
グローバル展開を目指すWebtoonにおいて、翻訳やローカライズを意識したレイヤー分けは不可欠です。
「描き文字」や「描き効果(漫符)」は翻訳対象となることが多いため、必ず人物や背景とは別のレイヤーに分けてください。可能であれば、これらをさらに細分化し、専用のフォルダで管理するとより丁寧です。
また、翻訳により文字数が変化し、フキダシのサイズや形が変更される場合もあります。そのため、フキダシで隠れる部分にも、人物や背景をあらかじめ描いておきましょう。
(描き文字を人物や背景とは別のフォルダで管理する構成例)
さらに、一部の海外プラットフォームでは、流血などの暴力的表現が修正対象となることがあります。これらの要素も別レイヤーに分けておけば、迅速な対応が可能です。
Point!
翻訳や修正を見越して、文字や特定表現はあらかじめ分離しておきましょう。
「このフキダシのセリフを直したいけど、レイヤーが多すぎて見つけるのが大変……」と思ったことはありませんか? 制作現場では、うっかり別のレイヤーを編集してしまうといった悩みもよくあるものです。
そんなときに便利なのが、「レイヤー選択ツール」です。使い方はとても簡単で、Ctrl(Macの場合はCommand)キーを押しながら、レイヤーパネル上で目的のレイヤーをクリックするだけ。クリックしたレイヤーの描画部分が自動で選択されるため、探す手間が大幅に省けます。
レイヤーが複雑に重なっている箇所や、他のメンバーが作成したデータを引き継ぐ場面でも、直感的に目的のレイヤーにアクセスできるため、作業効率が大きく向上します。

レイヤー選択機能を効果的に活用するための注意点として、レイヤーが細かく分けられていない場合には、その利便性が十分に発揮されないことが挙げられます。
特にクリスタでは、上の画像のように画面上で効果が複雑に重なると、目的のレイヤーを見つけにくくなってしまうのです。
レイヤーの整理を怠っただけでうまく作業できないなんて、時間と労力の無駄ですよね。このような事態を避けるためにも、レイヤーはルールに従って正しく整理しておきましょう。

ショートカットキーが使用できない場合は、[ツール]パレットから[操作]ツールを選択し、次に[サブツール]パレットで[レイヤー選択]を選びます。その後、キャンバス上で編集したいオブジェクトや描画部分をクリックすると、該当するレイヤーが自動的に選択されます。
Point!
Ctrlキー(Macの場合はCommandキー)+クリックで、レイヤーを素早く選択して作業時間を短縮しましょう!
納品前や次の工程へ引き渡す前に、以下の点を必ず確認しましょう。
✅ ページ幅(1440px または 720px)と解像度(350dpi)は全ページで統一されていますか?
✅ レイヤーの順序は適切ですか?(背景 < 人物 < フキダシ < セリフ < 描き文字)
✅ 文字情報(セリフ・描き文字)が、上層の効果レイヤー(スクリーン、オーバーレイ等)の影響を受けていませんか?(文字情報は原則として最前面に表示されるようにしましょう)
✅ フキダシの下にも、背景や人物が描かれていますか?
✅ 意図せず結合されているレイヤーはありませんか?
✅ 不要なレイヤーは削除されていますか?(非表示ではなく、完全に削除しましょう)
最後の2点は、厳密にはレイヤー分けと関係ありませんが、とても大事なポイントです。一緒に確認するようにしてくださいね。
Point!
納品前の最終チェックで、データの不備やトラブルを未然に防ぎましょう。
Q. コマ枠は、図形ツールではなく、コマ枠レイヤーを使用しなければいけませんか?
A. コマ枠レイヤーの使用を推奨します。コマ枠レイヤーを用いることで、マスク処理が容易になり、着彩時の塗り残しやはみ出しを防ぎやすくなります。
また、多人数で作業するWebtoon制作では、コマごとにレイヤーを分けておくことで、修正作業が大幅に効率化されます。
Q. テンプレートの使用は必須ですか?
A. 制作を依頼するスタジオや編集部によっては、専用のテンプレートが用意されている場合があります。テンプレートを使用することで、レイヤー構成の統一が図られ、チェック作業が迅速化されるなど、制作効率が向上します。
必須でない場合もありますが、可能な範囲で使用することをおすすめします。重要なのは、テンプレートの有無にかかわらず、本記事で紹介したレイヤー分けの基本原則を理解し、実践することです。
これまで、レイヤー分けのルールについて解説してきましたが、多くの作業者が関わるWebtoon制作では、整理すべき対象はレイヤーだけにとどまりません。
まず挙げられるのが、工程ごとのフォルダ分けです。たとえば、あなたがWebtoonの原画を担当する場合、「原画」と名前を付けたフォルダを作成し、成果物をその中にまとめておきましょう。
他の工程についても、「線画」「着彩」などの名前でフォルダを分けておくことで、誰が見ても作業の進行状況が一目で把握できるようになります。
さらに、フォルダ内の各レイヤーにも「キャラクター名」や「背景の具体的な内容(空、建物など)」といった分かりやすいパーツ名を付けておくことで、次の工程を担当する人が内容を確認する手間を省けます。
Point!
Webtoon制作はチーム作業です! 次の担当者が困らないよう、レイヤーやフォルダの整理を常に意識しましょう。
Webtoon制作におけるレイヤー分けは、地味な作業に思えるかもしれませんが、作品の品質を左右し、複数人による制作をスムーズに進めるための非常に重要なルールです。特に、海外展開を視野に入れる場合には、その重要性がさらに増します。
ネーム段階からレイヤー分けを意識し、チーム全体で共通認識を持つことによって、より高品質な作品を効率よく制作できるようになります。
ぜひ、今回ご紹介したポイントを日々の制作に役立ててください。