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業界分析
「Webtoonでデビューするために、流行りのジャンルを知っておきたい!」
「Webtoonの読者は、どんなお話が好きなんだろう?」
Webtoonクリエイターとしてプロを目指すなら、市場調査は欠かせません。今、どんな作品が流行していて、次に何がヒットしそうなのか。現状と傾向を分析することで、新たなヒット作を生み出せるのは、Webtoonの世界でも変わりません。
この記事では、最大手マンガアプリの人気ランキングを基に、2024年度冬期におけるWebtoonのトレンドを調査しました。今注目されているWebtoonのジャンルを知りたい方は、ぜひ活用してください。
目的:現在ネット上で掲載されているWebtoon作品から比較的読者人気の高い作品群を抜粋し、それぞれの属性(ジャンル、要素)を集計、分析を行う
選定理由:Webtoonの流行をより明確に探るため「Webtoonを多く取り扱っている」「作品数、読者数ともに国内大手」の2点を満たす
※ランキングは「総合」あるいはそれに準ずる項目を対象とした
※横読みマンガ及び「原作は横読みだが縦読みに再構成されたマンガ」は除外した
※複数のアプリでランクインしている作品は1本とカウントする

集計表の一部(筆者作成)
上記の集計ルールに基づいて調査を行った結果、対象となったWebtoonの本数は以下の通りです。
「ピッコマ」:52作品
「LINEマンガ」:52作品
「めちゃコミック」:27作品
計132作品
「めちゃコミック」は、総合ランキングにおいて横読みのマンガが比較的多かったため、他の2アプリよりサンプル数が少なくなりました。アプリごとの取り扱い作品によるデータの偏りをなるべく防ぐため、「ピッコマ」「LINEマンガ」は、50本を目安に集計を打ち切っています。
次の見出しからは、調査データを基に、筆者が分析したWebtoon市場の現在の傾向を解説します。

少年マンガや青年マンガといった男性人気作品と比べると、少女マンガを中心とした女性人気作品のほうが、ランキングに多く掲載されています。全132作品のうち、女性人気作品は84本、男性人気作品は48本となっており、作品数では約2倍の差が確認できました。
特に「めちゃコミック」は、アプリ自体が女性向けマンガに力を入れているためか、27本中26本が女性人気作品と、極端な偏りを見せています。「ピッコマ」は30本、「LINEマンガ」でも29本と、いずれも過半数を女性人気作品が占めており、すべてのマンガアプリでその高い人気がうかがえます。
女性人気作品で頻出した属性は「ロマンス」と「女性主人公」の2つです。ヒロインとヒーローの恋愛模様を描くマンガが主流ですが、一方で親子の絆をテーマにした「家族モノ」や、ヒロインが仕事に打ち込む「働く女子」といった属性も確認されました。女性人気=恋愛ロマンスとは言い切れません。
『灰かぶり令嬢と行き遅れ元王太子の結婚』海城あおの/WithLinks
『お求めいただいた暴君陛下の悪女です』天壱/SORAJIMA
人気ジャンルの比率はどうでしょうか。グラフとともに検証してみます。

ロマンスが最多の73本、次点はバトルアクションの39本となり、この2ジャンルで全体の8割以上を占めています。フルカラーで豪華な作画がスタンダードなWebtoonは、美しいデザインが映えるロマンスや、迫力ある演出が要となるバトルアクションと相性が良く、その傾向が人気作にも反映されているのかもしれません。
一方で、ロマンスやバトルアクションはすでに飽和状態にあり、読者から「どれも同じような作品」と敬遠されるリスクもあります。流行しているからこそ、じっくりと作り込み、独自の魅力を明確にすることが求められそうです。
その他のジャンルは極端に少なく、Webtoon全体のジャンルの偏りが顕著に表れています。スポーツやギャグコメディといった横読みマンガの定番ジャンルもごくわずかであり、Webtoonと横読みマンガでは、流行するジャンルが似ているようで異なることがわかります。
『再婚承認を要求します』Alphatart/LINE WEBTOON
『よくある令嬢転生だと思ったのに』lemonfrog/LINE WEBTOON
『入学傭兵』YC/LINE WEBTOON
『神血の救世主~0.00000001%を引き当て最強へ~』江藤俊司/Studio No.9
全132作品中、ロマンスは73本を占めており、その内訳を見ると興味深い傾向が読み取れます。
ロマンス作品73本のうち、66本が「ロマンスファンタジー」あるいは「恋愛ファンタジー」と呼ばれるジャンルであり、今回の対象となった全132作品の実に半数を占めています。

ロマンスファンタジーとは、「恋愛要素がメインのファンタジー」のことであり、近年のWebtoonにおけるメインストリームとなっています。「LINEマンガ」では「ロマンスファンタジー」、「めちゃコミック」では「恋愛ファンタジー」と、それぞれ専用タグが実装されているほどで、このジャンルでWebtoonを楽しみたい読者層の存在がうかがえます。
特に注目すべきは、ロマンスファンタジーの多くが中世西洋をイメージした王侯貴族の恋愛劇である点です。ロマンスファンタジー66本のうち、王侯貴族がストーリーの根幹に関わる作品は58本に上り、一大ジャンルを形成しています。
かつてシェイクスピアの『お気に召すまま』が人々を魅了したように、上流階級の恋愛は時代を超えて高い需要があることがうかがえます。
『傲慢の時代』Lemonfro/LINE WEBTOON
『年下夫の未来のために、離婚状を置いて出ていった結果』朧月あき/シェルパスタジオ
Webマンガではすっかり定番となった「転生モノ」は、Webtoonでも頻繁に採用される属性です。転生モノは全132作品中31本を占め、全体の2割強にあたります。
また、今回の調査では、「転生モノ」にも複数のバリエーションが確認できました。

「現代人がまったく知らない異世界に転生する」パターンは、人気アニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』を筆頭に認知度が高いため、便宜上「王道転生」と呼びます。「王道転生」は31本中10本でした。
「王道転生」以上に多かったのが、「主人公が生前に楽しんでいた小説やゲームのキャラクターに転生する」パターンで、今回は「フィクション転生」と呼びます。31本中14本と、全体の3分の1を超えており、Webtoonではむしろ「フィクション転生」こそ転生モノの王道といえるかもしれません。
主人公があらかじめキャラクターの設定や今後の展開を理解しているため、決められた未来を変えるドラマを作りやすいのが「フィクション転生」の強みです。
他に目立ったのが、「強者が弱者(赤ん坊やいじめられっ子など)に転生する」パターンでした。今回は「転生(逆)」とし、7本が該当しています。
このように、同じ転生モノでも、異世界や人物の設定によってさまざまなバリエーションが生まれます。読むだけではあまり意識しないかもしれませんが、クリエイターとしては押さえておきたいポイントです。
王道転生:『アクセス:1万年後の未来に』Changpan Warrior/Kuaikan Comics
フィクション転生:『夫を味方にする方法』SIRU/KW Books
転生(逆):『最強の王様、二度目の人生は何をする?』TurtleMe/Tapas Media
2024年度冬期におけるWebtoonのトレンドを探ってきました。今回の調査を簡単にまとめます。
恋愛ロマンスや女性主人公を前面に押し出した女性人気作品が優勢
ロマンスファンタジーがWebtoonのメインストリーム
人気ジャンルはロマンスとバトルアクションに二分化しており、ジャンルの偏りが顕著
転生モノは「フィクション転生」がやや優勢
以上の4点が、Webtoonの現在のトレンドとして確認されました。
ただし、作品づくりに市場のトレンドを反映させるかどうかは、クリエイター次第です。流行に沿った作品づくりは、大多数の読者に届きやすいという強みがありますが、ヒットするかどうかはまったくの別問題。結局のところ、作品の成功は「面白さ」、ひいては自分だけの「作家性」をどれだけ作品に込められるかにかかっています。
むしろ、トレンドに背を向けた作風で大ヒットしたWebtoonも存在し、注目を集めています。

© 阿賀沢紅茶 / 集英社
例えば、阿賀沢紅茶先生の『氷の城壁』です。本作は日本の学園を舞台にした青春ラブコメで、ファンタジーでもなければ、貴族も登場しません。しかし、高校生が抱く等身大の悩みをリアルに描いたストーリーが読者の共感を呼び、TVアニメ化が決定するほどのブームを巻き起こしました。

© 雲 / Toyou's Dream
また、「ピッコマ」で連載中の人気Webtoon『シャーク』は、総合格闘技をメインに据えたアクションマンガです。転生やチート能力といった要素を排し、現実的な格闘バトルを高い表現力で描く作風が、読者を惹きつけています。
以上の2作品は、独自の魅力を盛り込んだ作品づくりで支持を集めたWebtoonの好例といえるでしょう。
流行を押さえ、読者に受け入れられやすいWebtoonを作るか。あるいは、先人の少ないジャンルで自分の作家性を発揮するか……。トレンドを把握したからこそ、慎重に選択していきたいですね。

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